台湾花布の書籍誕生のきっかけとなった日本の伝統文様集

台湾で最初の台湾花布に関する書籍である、「台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150(呉清桂 著)」が出版されたのは、2008年5月のことです。
その後二冊が出版され、現在三冊の書籍があります。

「台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150」について調べているうちに、その誕生のきっかけとなった日本のとある本にたどり着いたので、ご紹介したいと思います。


台湾に紹介された日本の伝統文様

中村重樹氏による「日本の伝統文様 CD-ROM素材250 」というデザイン集が、2007年9月、中国語に翻訳され、台湾の如何出版社から出版されました。
実物を持っていないので画像がありませんが、表紙と内容の一部が誠品書店のオンラインストアでご覧になれます。
設計的寶庫: 日本傳統文樣250 

この本が台湾でかなりの好評を博したことを受け、編集スタッフたちは「どうして台湾には、このようなデザイン資料集が今まで無かったのだろう」と思い始めました。そしてちょうどその頃、再び注目されるようになった昔ながらのプリント生地・花布に目をつけ、花布を解説するデザイン集を作ろうと、呉清桂氏にその執筆を依頼したのです。

台湾花布のデザイン集の誕生

呉清桂氏は台湾各地を巡って、かなりの数のプリント生地を収集していますが、その多くが日本の生地のデザインを参考にしたものであり、版権の所在がはっきりしておらず、参考にできるような資料もほとんど残っていませんでした。そのような生地たちを分類し系統づけて、デザイン集としてまとめるのは、さぞかし骨の折れる作業だったでしょう。
そうして誕生したのが、「台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150」です。

台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150

引き継がれている書籍の形式と紙面レイアウト

これら二冊を見比べてみると、「台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150」が「日本の伝統文様 CD-ROM素材250 」を参考にして作られたことがよくわかります。
伝統文様は全てカラー画像で掲載されており、それをJPEGデータとPSDデータにて収録したCD-ROMが付属しています(「台灣的設計寶庫――」はJPEGデータのみ収録)。

ページを開くと左側に付属CD-ROMのファイル番号、名称、説明文、小さい画像などがあり、右側は大きい画像というレイアウトになっています。
「日本の伝統文様 CD-ROM素材250 」も実物を持っていないので画像はありませんが、下記のリンクから表紙と内容の一部がご覧になれます。

「台灣的設計寶庫――」も、全く同じレイアウトです。

台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150

現在私たちが、もう市場には出回っていない古い台湾花布のデザインを見ることができたり、画像データを利用できているのは、「日本の伝統文様 CD-ROM素材250」というお手本が存在していたおかげなのだと思います。感謝しかないですね。

中村重樹氏の伝統文様シリーズ

中村氏の伝統文様シリーズは、2007年に続いて2008年8月には、「日本の伝統文様 花鳥風月 CD-ROM素材250」が中国語に翻訳され、如何出版社から出版されています。

台湾で出版された二冊を見て気づいたのですが、どちらも表紙のデザインが変更されています。黒地に金の文様や牡丹の花など、よりインパクトがあり台湾人が好むデザインになっています。

中村氏の伝統文様シリーズで、他に気になったもののリンクも貼っておきます。

台湾花布と日本の関係

台湾花布について調べていると、いつも日本にたどり着くような気がします。プリント技術、デザインの参考、そしてデザイン集の出版のきっかけも日本にありました。
華やかな花布が大好きなのはもちろんですが、日本との結びつきの深さに、より親しみを感じます。


これからも、台湾花布と日本のこのような深い関係を、多くの方々に伝えていければと思っています。


参考文献:
「台灣的設計寶庫 傳統花布圖樣150」
呉清桂 著



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コメント

  1. メイフェ より:

    世界の伝統文様って見たみたいです。
    それぞれの国にどんな模様があるのか・・・。
    表紙を見ただけでも美しいですよね。

    伝統のものだけれど、マスキングテープなんかにも
    こういう柄のものがあったりしますよね。
    時代変わらず人を惹きつけるものは、そうなのかもしれないですね♡

    • 藍蓮花 藍蓮花 より:

      メイフェさん
      台湾花布について調べていたのに、思わぬところにたどり着きまして…
      世界の伝統文様、私もすごく興味がわきました。
      マスキングテープや、手芸用のチロリアンテープみたいなものは、手軽に伝統文様を取り入れられていいですよね。

      台湾花布の花柄は「傳統」とはいうものの、日本人がイメージする伝統文様とは違うものだよね。

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